「また月末が近いのに、手元にお金が残っとらん…」
「今月は大きな現場もあったはずなのに、なんでカツカツなんだろう…」
毎日、現場に事務所にと駆け回り、汗水流して頑張っている建設業の社長さん。本当にお疲れ様です。
職人さんの手配、材料の段取り、お客さんとの打ち合わせ、そして自らも現場に出る…。気づけば一日があっという間。会社の細かい数字なんて、正直見ている暇がない、というのが本音かもしれませんね。
でも、「売上はそこそこあるはずなのに、なぜかいつも資金繰りが苦しい…」と感じていませんか? もしそうなら、それは「どんぶり勘定」が原因かもしれません。
この記事では、難しい会計の知識は一切不要! 忙しい建設業の社長さんが、最低限これだけは見ておきたい「3つの数字」と、どんぶり勘定から抜け出すための具体的な「次の一歩」を、現場目線で分かりやすくお伝えします。「なんだ、そんなことでいいのか」と思える、シンプルなヒントがきっと見つかるはずです。
なぜ、いつもお金の心配がつきまとうのか?「どんぶり勘定」の落とし穴
「社長、あの材料足りません!」
「明日の応援、一人お願いできますか?」
「お客さんから、至急この見積もり欲しいって言われてます!」
現場からの電話、職人さんとのやり取り、元請けさんとの調整…。建設業の社長は、本当にやることが多いですよね。目の前の仕事をこなすのに精一杯で、会社の通帳とにらめっこする時間は、ついつい後回しになりがちです。
売上の入金があったらホッとして、支払いが済んだらまた不安になる…そんな風に、感覚だけでお金を管理している状態を「どんぶり勘定」と言います。
このどんぶり勘定、実はすごく怖いんです。
- 気づかないうちに赤字工事が増えている
- 儲かっているつもりでも、手元にお金が残らない
- 突然の支払い増に対応できず、資金ショート寸前に…
なんてことが、実際に起こりかねません。でも、大丈夫。今からでも遅くありません。まずは、会社の状態をざっくりと把握することから始めましょう。
難しいことはナシ!社長が最低限おさえるべき「3つの数字」
「決算書? 見てもチンプンカンプンだよ…」という社長さん、安心してください。難しい会計用語や複雑な計算は、一旦脇に置いておきましょう。
まず注目してほしいのは、たった3つのシンプルな数字だけです。
① 売上高:会社の「稼ぎ」の大きさ
これは一番イメージしやすいですよね。シンプルに「いくら仕事をして、お客さんからお金をもらえる(予定)か」ということです。
【見るべきポイント】
- 先月と比べてどう?
- 去年の同じ月と比べてどう?
これだけでOKです。「今月は〇〇の現場があったから売上が伸びたな」「先月は天気が悪くて現場が止まったから減ったな」と、増減の理由をざっくり考えるクセをつけるだけでも、会社の状況が見えてきます。
② 粗利(あらり):会社の「儲け」の源泉
「売上」だけ見ていても、会社が本当に儲かっているかは分かりません。そこで大事なのが「粗利」です。
【超シンプル計算式】
売上高 ー 売上原価(材料費、外注費など、その工事に直接かかった費用)= 粗利
簡単に言うと、「稼いだお金から、その仕事にかかった直接の費用を引いた残り」のこと。これが、会社の本当の「儲け」の源泉になります。
【なぜ重要?】
もし粗利がマイナスなら、それは「やればやるほど赤字になる仕事」ということです。いくら売上が大きくても、粗利が出ていなければ、会社にお金は残りません。
【把握のコツ】
まずは、大きな工事だけでもいいので、「この現場、粗利はいくらくらいかな?」と意識してみましょう。見積もりの精度を上げるヒントにもなります。
③ 固定費:会社を「維持」するための費用
これは、「売上があってもなくても、毎月(または毎年)必ず出ていくお金」のことです。
例えば…
- 事務所や倉庫の家賃
- 社員さんや事務員さんの給料・社会保険料
- 重機や車のリース代、ローン返済
- 携帯代、ネット代、水道光熱費
- 保険料(労災保険、賠償責任保険など)
- 借入金の返済 など
【なぜ重要?】
この固定費がいくらかかっているかを把握しないと、「毎月、最低いくら粗利を稼がないと赤字になるのか」が分かりません。粗利が固定費を上回って、初めて会社の利益となります。
(ここに、売上・粗利・固定費の関係を示すシンプルな図解を入れるイメージ)
[例:大きな箱(売上)から、中くらいの箱(売上原価)を引き、残った部分(粗利)が、小さな箱(固定費)より大きいか小さいかを見る、といった簡単な図]
「あれ?」と思ったら危険信号!会社の状態をチェックするクセをつける
この3つの数字を意識するようになると、「あれ? ちょっとおかしいぞ?」という会社の危険信号に気づきやすくなります。
- 「最近、粗利率がだんだん下がってきてる気がする…」
(→ 材料費が高騰してる? 安い仕事を受けすぎてる?) - 「売上は伸びてるのに、通帳の残高は増えないなぁ…」
(→ 回収が遅れてる? 固定費が増えすぎてる?) - 「今月、粗利より固定費の支払いの方が大きいかも…」
(→ このままだと赤字だ!)
完璧な分析じゃなくていいんです。「なんとなくヤバい気がする…」という感覚を、この3つの数字で裏付けられるようになるだけでも、大きな進歩です。
どんぶり勘定卒業への「次の一歩」:まずはコレだけやってみよう!
「よし、3つの数字が大事なのは分かった! でも、何から手をつければいいんだ?」
そう思った社長さん、素晴らしいです! その気持ちが一番大事。
完璧を目指さなくて大丈夫。まずは、今日からでもできる、超簡単な「次の一歩」を踏み出してみませんか?
それは…
「固定費リスト」を作ってみること!
やり方は本当に簡単です。
- ノートでも、使い古しの封筒の裏でも、パソコンのExcelでもOK。
- 「毎月必ず出ていくお金」を、思いつくままに書き出してみましょう。
- 家賃:〇〇円
- 給料・社保:〇〇円
- リース代(〇〇):〇〇円
- 携帯代(〇台分):〇〇円
- 借入返済:〇〇円
- …などなど
- 最後に、全部合計してみましょう。
「うわっ、思ったより毎月こんなにかかってるのか…!」
そう気づけたら、大成功です! これが、どんぶり勘定から抜け出すための、記念すべき第一歩になります。
まとめ:社長、一人で悩まないで!
毎日現場で汗を流し、会社を守るために奮闘する社長さん。会社の数字と向き合うのは、面倒だし、時には目を背けたくなることもあるかもしれません。
でも、難しい会計知識は必要ありません。まずは今回ご紹介した「売上」「粗利」「固定費」という3つの数字を意識することから始めてみてください。
そして、最初の具体的な行動として「固定費リスト」を作ってみる。たったこれだけでも、会社のお金の流れに対する見方がきっと変わってくるはずです。
会社の現状を「なんとなく」ではなく「数字で」把握できるようになれば、漠然としたお金の不安も少しずつ和らいでいきます。そして、「次はどこに手を打つべきか?」という具体的な作戦も見えてくるはずです。
社長は一人ではありません。このサイトが、そんな社長さんの「作戦会議室」として、少しでもお役に立てれば嬉しいです。できることから、一歩ずつ。一緒に頑張っていきましょう!
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