MENU

材料ロス・道具紛失とサヨナラ!現場の資産を守る「地味だけど効く」管理術


「あれ? あの材料、まだ残ってたはずだよな…足りないぞ?」
「おい、〇〇(道具の名前)、どこやったか知らないか? また見当たらないんだよ…」
「この前買ったばかりの道具、もう壊れちゃったのか…」

建設現場では、日々たくさんの材料や道具が行き交います。その中で、「材料が余分に出ちゃった」「なぜか道具がなくなっちゃった」なんてこと、正直よくありますよね。忙しい現場では、「まあ、仕方ないか」「細かいことだよ」と、つい見過ごしてしまいがち…。社長さん、本当にお疲れ様です。

でも、ちょっと考えてみてください。その「余った材料」や「なくなった道具」、一つ一つは小さくても、積み重なれば会社の利益を確実に削っているとしたら?

この記事では、会社の「資産」である材料や道具を大切に守り、無駄なコストを削減し、現場の効率もアップさせるための、「地味だけど、やれば確実に効く」管理術をご紹介します。「ウチの現場でもできるかも!」そんなシンプルなヒントで、会社の体質改善を始めてみませんか?

なぜ「管理」が必要? ロスや紛失が地味に経営を圧迫するワケ

「材料がちょっと余るくらい、よくあることだよ」
「道具なんて、消耗品みたいなもんだし…」

そう思う気持ちも分かります。でも、材料のロスや道具の紛失・破損が、会社の経営に与える影響は、意外と大きいんです。

  • 直接的なコスト増:
    • 余分に買った材料費、使わずに劣化した材料の廃棄費
    • 紛失・破損した道具の再購入費
  • 時間的なロス:
    • なくなった道具を探し回る時間
    • 足りない材料を急いで手配する時間、その間の作業中断
  • 品質・安全への影響:
    • 間に合わせで不適切な材料や道具を使ってしまうリスク
    • 壊れかけの道具を使って事故につながるリスク
  • 機会損失:
    • 作業の遅れが工期全体に影響し、次の仕事に響く可能性も…

まさに「チリも積もれば山となる」。年間を通してみると、この「地味なロス」が、無視できない金額になっていることは少なくありません。会社の「資産」である材料や道具をきちんと管理することは、コスト削減だけでなく、現場の生産性や安全性を高める上でも、非常に重要なのです。

【材料ロスを防ぐ】3つの「地味だけど効く」管理術

まずは、現場で発生しがちな「材料ロス」を防ぐための、簡単な管理のコツです。

① 発注前の「ひと手間」で見える化!

  • 必要量をしっかり計算: 「だいたいこれくらい」ではなく、図面をよく見て、できるだけ正確な必要量を計算するクセをつけましょう。過去の似た工事のデータも参考に。
  • 在庫確認を忘れずに: 「まだ倉庫にあったはず…」と思いながらも、念のため発注してしまうこと、ありませんか? 発注前に必ず在庫を確認するルールを作りましょう。手書きでもいいので、簡単な在庫リストを作っておくと便利です。
  • 「ジャストサイズ発注」を意識: もちろん不足は困りますが、「念のため多めに」が常態化すると、ロスが増える原因に。「本当に必要な量」を見極める意識を持ちましょう。

② 現場での「置き方・使い方」ルール!

  • 材料の「住所」を決める: 種類ごと、あるいは使用する工程ごとに、材料の保管場所(定位置)を決めましょう。「どこに何があるか」が一目で分かると、ムダが減ります。
  • 保管方法にひと工夫: 雨風や直射日光で劣化しないよう、シートをかける、屋根のある場所に置くなどの配慮を。先に入荷したものから使う「先入れ先出し」も基本です。
  • 端材を活かす「もったいないBOX」: 少し余った材料も、すぐにゴミにせず、「もったいないBOX」などで一時保管し、別の場所で使えないか検討する習慣をつけましょう。
    関連記事: [現場の「もったいない」発見!利益をじわじわ増やすコスト削減アイデア集]
  • 丁寧な扱いを心がける: 現場での運搬や作業中に、材料を破損・汚損しないよう、職人さん全員で丁寧な扱いを意識することも大切です。

③ 定期的な「棚卸し」で現状把握!

  • 完璧じゃなくてOK!: 月末や工事完了時など、タイミングを決めて「今、どの材料がどれくらい残っているか」をざっくりでも把握しましょう。
  • 次の現場へ引き継ぐ: 次の現場で使えそうな材料があれば、リスト化して保管場所に移動するなど、無駄にしない仕組みを作りましょう。

【道具紛失・破損を防ぐ】4つの「地味だけど効く」管理術

次に、現場で「あれどこいった?」「もう壊れたの?」となりがちな道具の管理術です。

① モノの「住所」と「名前」を明確に!【定位置管理】

  • 置き場所を決める: 工具箱の中、倉庫の棚、車の中など、道具の種類ごとに「ここが定位置!」という場所を決めましょう。
  • 「見える化」で分かりやすく: 棚に道具の名前や形を書いたり、工具箱の中にスポンジなどで型を作ったりすると、一目で置き場所が分かり、紛失防止にも繋がります。
  • 「社名」を入れて区別: 会社所有の道具には、テプラや刻印などで社名を入れておくと、個人のものとの区別がつきやすく、持ち出しや紛失の抑止力にもなります。
    関連記事: [なぜ、片付いている現場は儲かるのか?建設業版「5S」実践のススメ]

② 「貸し借りルール」をシンプルに!

  • 高価な道具は記録を: 電動工具や特殊な機械など、高価なものは「誰が、いつから、何を借りているか」を簡単に記録するノートやホワイトボードを用意するだけでも効果があります。
  • 「ちょっと貸して」の曖昧さをなくす: 気軽な貸し借りが、紛失や責任の所在不明確の原因になることも。簡単なルールを決めておきましょう。

③ 「使う前・使った後」のひと手間で長持ち!【メンテナンス】

  • 使う前にチェック: 「刃こぼれはないか?」「コードは傷んでいないか?」など、使う前に簡単な点検をする習慣をつけましょう。
  • 使った後はキレイに: 汚れを落とし、必要であれば油をさすなど、簡単な手入れをするだけで、道具の寿命は格段に延びます。
  • 異常はすぐに報告: 「ちょっと調子がおかしいな」と感じたら、そのまま使わずにすぐにリーダーや社長に報告するルールを徹底しましょう。早めの対処が、大きな故障や事故を防ぎます。
  • 定期メンテナンス: 可能であれば、月に一度など、定期的に道具のメンテナンス日を設けるのも良い方法です。

④ 「持ち出し・持ち帰り」ルールを決める!

  • 現場間の移動は明確に: ある現場から別の現場へ道具を移動させる際のルールを決めておきましょう。「誰が、何を、どこへ持っていったか」を把握できるようにします。
  • 現場への置き忘れ防止: 一日の作業終了時に、使った道具が全て揃っているか確認する習慣をつけましょう。

「面倒」を「当たり前」に変えるために

「こんな細かいこと、現場はやってくれないよ…」
そう思うかもしれません。管理を現場に根付かせるためには、ちょっとした工夫が必要です。

  • ルールはシンプルに: あまり複雑なルールは長続きしません。まずは一番困っていることから、簡単で分かりやすいルールを作りましょう。
  • 「なぜやるのか」を伝える: ただ「やれ」ではなく、「これをやれば、みんなが道具を探す時間が減って楽になるよ」「会社のコストが減れば、みんなに還元できるかもしれないよ」など、メリットを具体的に説明しましょう。
  • できている人を褒める: ルールを守り、道具を大切に扱っている職人さんを見つけたら、「〇〇さん、いつも道具をキレイにしてくれてありがとう!」と具体的に褒めましょう。良い行動は皆のお手本になります。
  • 社長自身が手本を示す: これが一番大事かもしれません。社長が率先して道具を大切に扱い、整理整頓を心がける姿を見せることで、現場の意識も変わっていきます。

まとめ:現場の「資産」を守ることが、会社の未来を守る

材料のロスや道具の紛失・破損。これらは、決して「仕方ないこと」ではありません。会社の貴重な「資産」を失っているのと同じです。

今回ご紹介した管理術は、どれも「地味」なことばかりかもしれません。しかし、この地道な取り組みこそが、確実に会社のコストを削減し、現場の効率を高め、ひいては会社の利益を守る力になります。

完璧を目指す必要はありません。まずは、自社の現場で一番問題になっていることから、一つでも二つでも、「これならできそう」という管理術を取り入れてみてください。

現場の資産を大切にする。その意識が、会社の未来をより強く、より豊かにしていくはずです。


【こちらの記事も読まれています】

  • 現場のコスト削減、もっとできること:
    [現場の「もったいない」発見!利益をじわじわ増やすコスト削減アイデア集]
  • 整理整頓が利益を生む!5Sのススメ:
    [なぜ、片付いている現場は儲かるのか?建設業版「5S」実践のススメ]
  • 会社の数字、基本から見直しませんか?:
    [「あれ、今月もカツカツだ…」を卒業!社長が最低限見るべき3つの数字と「次の一歩」]

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対するアドバイスではありません。具体的な管理方法の導入にあたっては、ご自身の判断でお願いいたします。

目次