「よし、この仕事、なんとか取れたぞ!」
受注できた喜びも束の間、工事が終わってみたら…
「あれ? 材料費が思ったよりかさんだな…」
「手間がかかって、人件費も予定オーバーだ…」
「結局、ほとんど儲けなしか、むしろ赤字じゃないか…!?」
毎日現場と事務所を行き来し、会社のために奔走されている建設業の社長さん。そんな悔しい経験、一度や二度はあるのではないでしょうか? 本当にお疲れ様です。
建設業にとって、「見積もり」は会社の利益、ひいては会社の生命線を左右すると言っても過言ではない、超重要な業務です。でも、忙しい日々に追われていると、つい「まあ、こんなもんかな」と経験則に頼ってしまったり、「早くしないと」と焦って細かい部分を見落としてしまったり…なかなか完璧にはいかないものですよね。
この記事では、難しい計算式や専門知識は横に置いておいて、忙しい社長さんでも見積もり精度を“ちょっと”だけ上げるための、今日からできる現実的なコツをご紹介します。さらに、どんなに気をつけても見積もり通りにいかない「もしも」の時に備えるための、会社のキャッシュを守る「資金繰り防衛術」についても、分かりやすくお伝えします。
なぜ赤字工事は生まれる? 社長が陥りがちな「うっかり」ポイント
「しっかり見積もりしたつもりだったのに、なんで赤字になったんだろう…?」
その原因、実はよくある「うっかり」や「思い込み」に隠れていることが多いんです。
- 「このくらいの作業なら、人工(にんく)は〇人だな」という経験頼みの甘い読み:
前回スムーズにいったからといって、今回も同じとは限りません。現場の状況や職人さんのスキルによって、かかる手間は変わりますよね。 - 材料費・燃料費の変動リスクを甘く見ている:
「前回はこの値段だったから」と、少し前の単価で見積もっていませんか? 特に最近は、ウッドショックや原油高の影響で、資材や燃料の価格が大きく変動しています。 - 人件費の見積もりがザックリしすぎている:
職人さんの日当だけでなく、残業代、応援を頼んだ時の費用、さらには社会保険料(法定福利費)など、意外とかかるコストを見落としていませんか? - 諸経費の計上漏れ:
現場管理費、運搬費、仮設材のリース代、駐車場代、産廃処理費…。「本体工事費」以外にかかる費用は、意外と多いもの。ここをしっかり拾わないと、後で「こんなはずじゃなかった」となりがちです。 - 「もしも」のトラブルを想定していない:
悪天候による工期の遅れ、予期せぬ地中障害物、施主からの急な仕様変更、手直し工事の発生…。トラブルはつきものです。 - 「安くしないと仕事が取れない」というプレッシャー:
競合との価格競争で、つい無理な金額で受けてしまう…。気持ちは痛いほど分かりますが、赤字覚悟の受注は会社の体力を削るだけです。
思い当たるフシはありませんか? 完璧な見積もりなんて、ベテラン社長でも難しいもの。大事なのは、これらの「うっかりポイント」を意識して、少しでも精度を上げていくことです。
完璧じゃなくてOK! 見積もり精度を“ちょっと”上げる5つの現実的なコツ
「じゃあ、具体的にどうすればいいんだ?」
大丈夫です。今すぐ全部やろうとしなくてOK。まずは「これならできそう」と思うものから試してみてください。
- 【クセづけ】過去の類似工事データを「チラ見」する習慣を:
「あの時の〇〇邸の工事、結局いくらかかったっけ?」と思い出すだけでもOK。ノートやExcelに「工事名」「売上」「主な原価(材料・外注・人工)」「粗利」だけでもメモしておくと、次の見積もりの強力な武器になります。 - 【ひと手間】材料費・外注費は「最新の値段」で確認する:
「たぶん、このくらいだろう」は禁物。主要な材料や外注費だけでも、見積もり前に仕入先や協力会社に電話一本、メール一本で確認するひと手間を惜しまないようにしましょう。 - 【ちょい足し】「もしも」の時のための”お守り代”(予備費)を少しだけ:
見積もり金額の〇%、とまではいかなくても、「ちょっと天気が悪かったら…」「ちょっと手こずるかも…」というリスクを少しだけ考慮して、気持ち上乗せしておく。「諸経費」の項目に含めるなど、工夫してみましょう。 - 【見える化】自分だけの「見落とし防止チェックリスト」を作る:
自分がいつも忘れがちな項目(例:産廃処理費、交通費、保険料など)を紙に書き出して、見積もり作成の最後にチェックするだけでも効果があります。 - 【線引き】「最低これだけは欲しい」粗利の目標ラインを決める:
「この工事で、最低でも〇〇万円(あるいは粗利率〇〇%)は儲けたい」というラインを、自分の中で持っておきましょう。これが、安易な値引きを防ぐための防波堤になります。
(ここに、簡単な見積もりチェックリストの例や、粗利計算のシンプルな考え方を示す図解を入れるイメージ)
[例:□ 材料費確認した? □ 外注費確認した? □ 諸経費入れた? □ 粗利目標クリアしてる? といったチェックボックス。円グラフで売上から原価を引いて粗利が残るイメージ図など]
それでも起こる「想定外」… だから運転資金が会社の“命綱”!
どんなに注意深く見積もりをしても、建設現場には「想定外」がつきものです。
- 急な豪雨で工事がストップ、工期が延びて追加の人件費が発生…
- 資材が予定通りに入荷せず、高い代替品を使わざるを得なくなった…
- 施主から「やっぱりこうしてほしい」と、直前で大きな仕様変更があった…
こんな時、頼りになるのは会社の「運転資金」、つまり手元にある程度のキャッシュ(現金)があるかどうかです。
もし手元資金に余裕がなければ、
- 職人さんへの支払いが遅れる…
- 材料の仕入れ代金が払えない…
- 会社の経費の支払いが滞る…
といった事態に陥り、会社の信用問題にもなりかねません。赤字工事が怖いのは、単にその工事で利益が出ないだけでなく、会社の運転資金を削り、資金繰りを悪化させてしまう点にあるのです。
【資金繰り防衛術】急なコスト増に備える「引き出し」を持っておくということ
「じゃあ、常に十分な運転資金を用意しておけってことか? それが難しいんだよ!」
社長さんのおっしゃる通りです。特に小規模な会社では、常に潤沢なキャッシュを手元に置いておくのは簡単ではありません。
だからこそ、「もしも」の時に備えて、資金を調達するための「引き出し」をいくつか持っておくことが、重要な「資金繰り防衛術」になります。
銀行からの融資はもちろん有力な選択肢ですが、審査に時間がかかったり、担保や保証人が必要だったり、必ずしも必要な時に間に合うとは限りません。
そこで、緊急時や短期的な資金ニーズに応えるための、別の選択肢を知っておくだけでも、心の余裕が生まれます。
その一つとして、前回も少し触れましたが、あなたの会社が持っている「売掛金(請求書)」を早期に現金化する「ファクタリング」という方法があります。
これは、工事が完了し請求書を発行したものの、まだ入金されていない売掛金を、ファクタリング会社に買い取ってもらうことで、本来の入金日よりも早く現金を手にすることができるサービスです。
【ファクタリングのポイント】
- メリット: 資金化までのスピードが速い(最短即日~数日)、担保や保証人が原則不要なことが多い。
- 注意点: 利用には手数料がかかる、悪質な業者もいるため会社選びは慎重に行う必要がある。
ファクタリングは、あくまで資金調達の「選択肢の一つ」です。万能薬ではありませんし、手数料もかかります。しかし、「急に大きな支払いが必要になった」「次の入金まで、どうしてもキャッシュが足りない」といった緊急時の資金繰りを繋ぐための有効な手段となり得ます。
「備えあれば憂いなし」と言いますが、資金調達の方法についても、事前に情報を集め、いざという時に慌てないようにしておくことが大切です。
「もしもの時の備えとして、情報だけでも知っておきたい」社長へ
「ファクタリングって、具体的にどんな仕組みなんだろう?」
「ウチみたいな小さな会社でも使えるのかな?」
「手数料って、実際どれくらいかかるんだろう?」
そんな疑問をお持ちの社長さんへ。
まずは、建設業の資金繰りに詳しい専門家に、気軽に相談してみませんか?
今すぐ利用するつもりがなくても、「いざという時の選択肢」として情報を知っておくだけで、経営の安心感は大きく変わります。
もちろん、相談したからといって、利用を強要されることはありません。あくまで「備え」のための情報収集として、お役立てください。
↓ 建設業に特化した資金調達の選択肢、まずは情報収集から ↓
[【情報収集】建設業向け「売掛金活用」の資金調達とは?] (← セールスレターへのリンク想定)
↓ 急な資金ニーズ、銀行以外の選択肢も知っておきたい方はこちら ↓
[【無料相談】急な資金ニーズに備える選択肢を見てみる] (← セールスレターへのリンク想定)
【ご確認ください】
※ファクタリングは、急な資金需要に応える有効な手段となり得ますが、手数料が発生します。ご利用の際は、契約内容(手数料率、契約形態、債権譲渡登記の有無など)を十分に確認し、複数の会社を比較検討するなど、慎重なご判断をお願いいたします。
まとめ:赤字工事を防ぎ、キャッシュを守るために
赤字工事を完全になくすことは難しいかもしれません。しかし、今回ご紹介したような見積もり精度を“ちょっと”上げるコツを意識するだけでも、状況は改善できるはずです。完璧を目指さず、できることから一つずつ試してみてください。
そして、どんなに気をつけても起こりうる「想定外」のコスト増に備えて、日頃から運転資金を意識し、いざという時のための資金調達の「引き出し」を準備しておくこと。これが、会社のキャッシュフローを守り、安定した経営を続けるための重要なカギとなります。
赤字工事の不安から少しでも解放され、社長が安心して本来の仕事に集中できる。そんな会社づくりを、一緒に目指していきましょう。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対するアドバイスではありません。金融・法律・税務等に関する最終的な判断は、必ず専門家にご相談ください。